〜〜〜静態保存蒸機 修復作業の全貌〜〜〜
小竹町総合運動公園に展示中のアルコ23号機は宮田町(現・宮若市)にあった旧・貝島炭鉱で活躍していたタンク機関車です。
閉山後、当地にて静態保存・展示していましたが、経年により各部に傷みが目立つようになった事から、修復作業を行う事となりました。
修復される前のアルコ23号機。さて、これがどのように「蘇る」のでしょうか・・・?
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表面の黒塗装はほぼ落ちて、錆止めの赤色が見えています。ただ、腐食などの傷みは少なそう・・・? |
1.修復開始~元の塗装を剥がして、下地作り及び腐食部分の補修 |
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塗膜が薄そうなので手っ取り早く・・・と思ったら、この錆止めが取れないこと!初っ端から悪戦苦闘で、これは前途多難・・・? |
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この日は3人がかりで、ひたすら削る、削る・・・朝から夕方まで頑張って、やっと前面の塗膜を剥がし終わりました。 |
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車両本体の修復と併せて、錆付いた建屋の「お色直し」。こちらはプロの塗装屋さんにお願いして施工して頂きました。 |
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なかなか取れない錆止め塗装。削り終わったら新しい錆止め塗装を施して、下地作りは進められます・・・ |
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入り組んだ下回りなど、ただでさえ取れづらい塗装面で、困難な作業が続きます。 |
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やっと砂運車「ロト」の作業へ。リベット止めなど入り組んだ所を先に削って、平面を後から一気に削る方法で作業が効率的に。 |
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やっと腐食部の「手当て」に着手。屋根下での保管ということもあって「重症」ではないものの、それなりに傷んでいます。
下地出し⇒FRP貼付⇒樹脂塗布⇒パテ盛り付け、と順番に行い、パテが固まったら研磨(面出し)します。 |
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あ、上回りがまだでした!屋根やサイドタンク天面などケレン⇒錆止めを施します。 |
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1回のパテ盛りでは面が出ないので、再び パテ盛り⇒硬化後の研磨⇒錆止め塗布 の工程を繰り返していきます。 |
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運転室内の真鍮部品を磨き出しました(左)/煙室内の残さ物(錆?)を掻き出しました(右) |
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下地作りがほぼ終了(まだ細かい部分の作業が残っています)して、真っ赤な機関車「ジェームズ」君状態。 |
ん、この部品は一体・・・? |
車番/社紋プレートの取付台座でした! |
機関車側の取付台座も加工。 |
溶接はプロの方にお願いしました。 |
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溶接した部分はしっかり下地を仕上げて、本塗装に向けた準備が整いました。 |
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本塗装を前に、車体を高圧洗浄でキレイにしました。車体の他、足元の線路/バラスト/周囲のコンクリート部分もキレイに! |
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窓枠の部品は新規製作、この日は塗装を施しました。資料が乏しく、色を決めるのに困りましたが、最終的に淡緑色に決定! |
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いよいよ本塗装に突入。まずは「タッチアップ」で、入り組んだ部分を先に塗っていきます。 |
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そして、一気に黒色を吹き付け・・・は1日では終わらず、2日がかり! |
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(左)機関車の前後に付くステップは実車も木製。厚みの調査で、これまたひと苦労/(右)車番、社紋の銘板を仕上げ |
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黒塗装、そして「バッファ」と呼ばれる部品の”当たり面”は赤色に。何だか、某県のチョー有名な「ゆるキャラ」にクリソツwww |
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とうとう11月に突入!お披露目会に間に合うのか・・・?この日は窓枠/前後ステップ/銘板類を取り付け。
実車は何と、側面ランボードまで木製だったそうで、当然こちらも新規製作。寸法確認して、塗装後取り付けの予定。 |
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シリンダーに取り付けられている銘板には「AGENTS MITSUI BUSSAN KAISYA」とあります、これも磨き出し。 |
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ロッドに銀色が入り、マスキングを剥がして真鍮製の部品が顔を出しました。漆黒の車体とのコントラストが素晴らしい!
ランボードも塗装して取り付け、車番・社紋の銘板も美しく輝いていますね。 |
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砂運車ロト39の社紋と車番標記、それに説明板の文字はステッカーで製作。 |
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やっと、やっと修復が終わりました。お披露目会のわずか3日前という、本当にギリギリでの完成!
あとはお披露目会の「本番」を待つばかり・・・ |
そして・・・
令和元年11月10日(日) 小竹町民祭にて「完成お披露目」となりました!
小竹町の松尾町長よりご挨拶。 |
そして、いよいよ除幕! |
ピカピカのアルコ23とロト39が姿を現しました! |
この日は特別に中へ入る事が出来ました(通常は立入禁止) |
アルコ23号機の前で敬礼ポーズもバッチリ決まった、小竹町の松尾町長。 |
2020年、アルコ23号機はデビュー100周年を迎えます。
日本の産業発展を支えた「石炭産業」の、まさしく現場で”馬車馬”のごとく働いた車両です。
九州では最後まで走り続けた(昭和51年に引退)蒸気機関車でもありました。
修復工事は終了致しましたが、それはゴールではなく、むしろ「新たな歴史の始まり」だと思います。
2度とボロボロになる事なく、時代や歴史/文化を次世代へ伝える「財産」として活用され
地域住民の皆様はもとより、一人でも多くの方々に末永く愛され続けて欲しいと切に願います。
ご覧頂き有難うございました。
そして、修復から2年後・・・
【追伸:アルコ23&ロト39が小竹町指定文化財になりました】
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2年前に当倶楽部で修復させて頂いた、小竹町総合運動公園で静態保存されている蒸気機関車「アルコ23号」「ロト39号」が本年4月に同町指定文化財となり、今月発行の同町「中央公民館だより」に掲載されました。これら車両が末永く小竹町民の皆様はじめ多くの方に愛され、次の世代へと受け継がれて行く事を願います。 |