蘇れ、アルコ23号機!
〜〜〜静態保存蒸機 修復作業の全貌〜〜〜

小竹町総合運動公園に展示中のアルコ23号機は宮田町(現・宮若市)にあった旧・貝島炭鉱で活躍していたタンク機関車です。
閉山後、当地にて静態保存・展示していましたが、経年により各部に傷みが目立つようになった事から、修復作業を行う事となりました。


修復される前のアルコ23号機。さて、これがどのように「蘇る」のでしょうか・・・? 

0.修復前 現状確認
表面の黒塗装はほぼ落ちて、錆止めの赤色が見えています。ただ、腐食などの傷みは少なそう・・・? 
1.修復開始~元の塗装を剥がして、下地作り及び腐食部分の補修
1−1.令和元年7月
塗膜が薄そうなので手っ取り早く・・・と思ったら、この錆止めが取れないこと!初っ端から悪戦苦闘で、これは前途多難・・・? 
 
1−2.令和元年8月 @
この日は3人がかりで、ひたすら削る、削る・・・朝から夕方まで頑張って、やっと前面の塗膜を剥がし終わりました。
 
1−3.令和元年8月 A
車両本体の修復と併せて、錆付いた建屋の「お色直し」。こちらはプロの塗装屋さんにお願いして施工して頂きました。
 
1−4.令和元年8月 B
なかなか取れない錆止め塗装。削り終わったら新しい錆止め塗装を施して、下地作りは進められます・・・
 
1−5.令和元年9月 @
入り組んだ下回りなど、ただでさえ取れづらい塗装面で、困難な作業が続きます。
 
1−6.令和元年9月 A
やっと砂運車「ロト」の作業へ。リベット止めなど入り組んだ所を先に削って、平面を後から一気に削る方法で作業が効率的に。

1−7.令和元年9月 B
やっと腐食部の「手当て」に着手。屋根下での保管ということもあって「重症」ではないものの、それなりに傷んでいます。
下地出し⇒FRP貼付⇒樹脂塗布⇒パテ盛り付け、と順番に行い、パテが固まったら研磨(面出し)します。
 
1−8.令和元年10月 @
あ、上回りがまだでした!屋根やサイドタンク天面などケレン⇒錆止めを施します。
 
1−9.令和元年10月 A
1回のパテ盛りでは面が出ないので、再び パテ盛り⇒硬化後の研磨⇒錆止め塗布 の工程を繰り返していきます。
 
1−10.令和元年10月 B
運転室内の真鍮部品を磨き出しました(左)/煙室内の残さ物(錆?)を掻き出しました(右)
 
1−11.令和元年10月 C
下地作りがほぼ終了(まだ細かい部分の作業が残っています)して、真っ赤な機関車「ジェームズ」君状態。
 
2.黒塗装〜部品の製作、取付〜仕上げ
2−1.令和元年10月 D

ん、この部品は一体・・・?

車番/社紋プレートの取付台座でした!

機関車側の取付台座も加工。

溶接はプロの方にお願いしました。
溶接した部分はしっかり下地を仕上げて、本塗装に向けた準備が整いました。
 
2−2.令和元年10月 E
本塗装を前に、車体を高圧洗浄でキレイにしました。車体の他、足元の線路/バラスト/周囲のコンクリート部分もキレイに!
 
2−3.令和元年10月 F
窓枠の部品は新規製作、この日は塗装を施しました。資料が乏しく、色を決めるのに困りましたが、最終的に淡緑色に決定!
 
2−4.令和元年10月 G
いよいよ本塗装に突入。まずは「タッチアップ」で、入り組んだ部分を先に塗っていきます。
 
2−5.令和元年10月 H
そして、一気に黒色を吹き付け・・・は1日では終わらず、2日がかり!
 
2−6.令和元年10月 I
(左)機関車の前後に付くステップは実車も木製。厚みの調査で、これまたひと苦労/(右)車番、社紋の銘板を仕上げ
 
2−7.令和元年10月 J
黒塗装、そして「バッファ」と呼ばれる部品の”当たり面”は赤色に。何だか、某県のチョー有名な「ゆるキャラ」にクリソツwww
 
2−8.令和元年11月 @
とうとう11月に突入!お披露目会に間に合うのか・・・?この日は窓枠/前後ステップ/銘板類を取り付け。
実車は何と、側面ランボードまで木製だったそうで、当然こちらも新規製作。寸法確認して、塗装後取り付けの予定。
 
2−9.令和元年11月 A
シリンダーに取り付けられている銘板には「AGENTS MITSUI BUSSAN KAISYA」とあります、これも磨き出し。
 
2−10.令和元年11月 B
ロッドに銀色が入り、マスキングを剥がして真鍮製の部品が顔を出しました。漆黒の車体とのコントラストが素晴らしい!
ランボードも塗装して取り付け、車番・社紋の銘板も美しく輝いていますね。
 
2−11.令和元年11月 C
砂運車ロト39の社紋と車番標記、それに説明板の文字はステッカーで製作。
 
2−12.令和元年11月 D
やっと、やっと修復が終わりました。お披露目会のわずか3日前という、本当にギリギリでの完成!
あとはお披露目会の「本番」を待つばかり・・・

そして・・・

令和元年11月10日(日) 小竹町民祭にて「完成お披露目」となりました!


小竹町の松尾町長よりご挨拶。

そして、いよいよ除幕!

ピカピカのアルコ23とロト39が姿を現しました!

この日は特別に中へ入る事が出来ました(通常は立入禁止)
 
アルコ23号機の前で敬礼ポーズもバッチリ決まった、小竹町の松尾町長。

2020年、アルコ23号機はデビュー100周年を迎えます。
日本の産業発展を支えた「石炭産業」の、まさしく現場で”馬車馬”のごとく働いた車両です。
九州では最後まで走り続けた(昭和51年に引退)蒸気機関車でもありました。

修復工事は終了致しましたが、それはゴールではなく、むしろ「新たな歴史の始まり」だと思います。
2度とボロボロになる事なく、時代や歴史/文化を次世代へ伝える「財産」として活用され
地域住民の皆様はもとより、一人でも多くの方々に末永く愛され続けて欲しいと切に願います。


ご覧頂き有難うございました。



そして、修復から2年後・・・

【追伸:アルコ23&ロト39が小竹町指定文化財になりました】
 2年前に当倶楽部で修復させて頂いた、小竹町総合運動公園で静態保存されている蒸気機関車「アルコ23号」「ロト39号」が本年4月に同町指定文化財となり、今月発行の同町「中央公民館だより」に掲載されました。これら車両が末永く小竹町民の皆様はじめ多くの方に愛され、次の世代へと受け継がれて行く事を願います。

 

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